23:45分のはなし

奇跡を飼い慣らしきれずに9日目

惰性で回る世界とそこに住む住民たち

大多数から一人を見つけたとき

ぼくのなかの序列は変わる 変わる

 

奇跡につまずいて1週間と2日目

いつか起こりうることは明日起こってもおかしくない

左目の奥で腰の曲がった思い出たちが語る

きみの見る世界は平常運転だろう

 

コマ送りに進む日常を タイヤの取れかけた自転車ではしる

荷台には物悲しげな自尊心としわくちゃの五千円札

心臓から生まれたアレは言葉になるのを拒み

愛想笑いだって悪かないぜと消化不良の笑み

 

どこにだって行ける気はしたけど

どこに行きたいのかは知らない

今日はよく眠れるだろう枕元には通知オフの携帯電話

 

そして奇跡を咀嚼すること10日目の朝を迎えることになる

奇跡から当たり前になるとき

ぼくの恋は終わりさ